10年今昔、日々精進
子育てグリーン住宅支援事業が始まり、GX志向型住宅が新設されました。
当初の情報では無かったHEMS採用が条件に組み込まれ、業界全体ではわかりませんが私的には建築途中のお客様へのご提案が若干バタついた感がありました。
GX志向型の条件は断熱等対策等級6以上、省エネルギー基準削減率35%以上、再エネ(太陽光等)を含む省エネルギー基準削減率100%以上、HEMS設置というところです。その中でも個人的には省エネルギー基準削減率35%以上という基準は、ヒートポンプ給湯器などそれなりの設備を導入しつつコストパフォーマンス的にも容認できる基準で良い線だと思っています。比較するものでは無いですが、東京ゼロエミ住宅の水準Aは外皮平均熱貫流率0.35以下、省エネルギー基準削減率45%以上です。これは中々の基準で補助金の額が240万円というのも頷けます。東京都環境局のホームページを見ると、水準Cにはなりますが光熱費の削減効果シミュレーションが掲載されています。補助金はイニシャルコストと補助金の収支のみで考えてしまいがちですが、通年の光熱費の削減効果を考える事も必要です。又、業界紙によると、4月の社会資本整備審議会建築分科会の会議で住宅性能表示制度における一次エネルギー消費量等級の見直し案が示され、上位等級が創設される見込みで最上位の基準はGX志向型と同等とありました。確かに建物には断熱性能と省エネ性能は必要ですが、特に個人の方がお住まいになる家づくりはそれだけではなく、資金計画や住まい方も重要な観点です。少し収まった感があった断熱フィーバーが法令改正により再燃するのかもしれませんが、冷静に物事を考えていきたいところです。
話は変わりますが、GX志向型の設置条件であるHEMSはエネルギー削減効果を期待できますが、それだけではなく家電などに接続することで生活がとても便利になります。しかし、電気錠や電動シャッターに接続する場合はインターフェースの設置などでコストが嵩む為、どこまで繋げるのかはコストを考えながらの導入になります。「もうちょっと簡単になれば良いのに」と思うのですが、難しいのでしょう。例えばPanasonicのAiSEG2又は3で照明をコントロールしようとすると各スイッチに受信器が必要となり、それなりにコストが嵩みますが、代わりにスイッチボットを使うと安価で同じような事が出来ます。自動制御によるエネルギー削減ができるHEMSとは概念が少し異なり、又、見た目や耐久性などを考えると単純比較は出来ませんが、このようなスマートホームデバイスをお施主様が購入し、設置されるケースが増えています。
最近ではスマートホームデバイスとしてEcho Hubを採用されたお施主様がいらっしゃいました。Echo Hubは、デバイスに詳しい方であれば安価でかなり便利に使えるのでは?と思います。ようやくプロバイダ毎の配線・配管の知識が蓄積し、「ONUはここに置きましょう」などと言っていたら、その先の技術の進歩が日々著しくお施主様に教えていただく事も多々あります。
例えば最近の治安悪化による影響で設置が増えている防犯カメラ。数年前に大規模建築物の設計をしている建築士のお施主様から、防犯カメラはPOE給電にしたいというご要望が。当時、POE給電を知らず採用理由をご教示いただくと、LANケーブルによって電源が確保できるので配線がシンプル、有線の為に作動環境が安定している、屋外機器接続の際に電源不要ですっきり納まるなどが理由でした。電源のみを建築側で設けてWi-Fi接続など防犯カメラの設置には多様な方法がありますが、最新の有意義な情報をお客様に提供できるようアップデートは常に必要だと改めて感じる日々です。このブログを書いている最中に、ふと約10年前に建築した先代のモデルハウスを思い出しました。BELS評価書を見てみるとUA0.42、省エネルギー基準削減率は22.5%、再エネ(太陽光等)を含む省エネルギー基準削減率100%以上、HEMS設置でした。省エネルギー基準削減率は及びませんでしたが、GX志向型住宅に近い性能です。当時から当社の住宅への取り組みは変わっておらず、その道は間違っていなかったんだろうと改めて確信した次第です。しかし、ソフト面では先述したスマートホームデバイスなどがこれほどまでに進化するとは…
月並みですが、これからも「日々精進」です…はい。